独断と偏見でMBTI風なキャラクター性格診断をするだけに留まらないブログ

進撃の巨人とトライガンとからくりサーカスをこよなく愛し、あと思いつきで歴史ネタをいれる。 そんなブログですが、最近忘れがちなMBTIの要素もちゃんとやってきます。

カテゴリ: 雑記




今まで進撃の巨人について考察してきたけど今思えば重箱の隅をつつくような微妙なのばかりだった。

とはいえ、その中で唯一他の人も指摘している超絶ロングパスかつ重要な伏線があります

それが進撃の巨人世界の紀元。起源ではない、紀元。

1巻を見ればわかるとおり、エレン達の親も健在の幼年期時代があるんですがこのとき、845という数字が出てくる。

その次に、5年後に時間が飛ぶと850と。

このことから、この数字が紀元後850年という意味である事が明白ですよね

つまり850年前に何かとてつもない事が起こり、それを紀元1年としている事が読み取れます。

我々の世界で言うと聖人イエスキリストが生を受けた年が西暦の紀元1年だったはずです。

そして我が日本では神武天皇が橿原で即位したとされるおよそ2600年前の年を皇歴における紀元1年と捉えてもいいのではないでしょうか。
実際戦前はそうだったらしいです。

いずれにせよ途方もなく重大な出来事があってはじめて紀元というのは生まれるわけです。
しかし驚くべき事に進撃の巨人では123話時点ですら、この紀元1年に関する考察のヒントすらないという。
でもここまで進撃の巨人を読んできた人ならまさか諌山先生がこの時に限ってはなにも考えていないって事はないだろうという信頼がありますよね。

でもさすがにここまで話が進んで来ると、紀元の謎さえ回収されるのかになってくる。










前の記事

この前の記事で私は進撃の巨人の文字について考察していました。
簡単に箇条書きで振り返りますとーー

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出典:進撃の巨人

①:『大陸の文字』と『壁内の文字』に相違がある。

②:大陸ではマーレがエルディア帝国に関する不都合な事実を隠蔽するためエルディア人に新しい文字を強制し、古文書を読めなくした可能性が高い。

③:しかしマーレはなにかと詰めが甘くずさんであり、この世から過去の文字の読み方を全て抹消したとは考えにくい。

④:昔の字の読み方を王家の血を引くダイナを用意できるクルーガーですら見つけられないのも妙である。
少なくとも王家のダイナくらいはそういう王家伝来の秘蔵の書物なんかを持っててもよさそうだが。

⑤:やはり何か裏があるのでは?


という、根拠のない妄想に妄想を重ねる記述でもよければ、そんな奇特な方はこの先を読んでください。

みなさん、進撃の巨人では845や850 などの数字が出てきます。
5年前時点で845、訓練兵団卒業時点で850なのでどうやら【紀元後850年】という意味である事が読み取れます。

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出典:進撃の巨人


いきなり結論から言いますが、紀元1年に世界は文字を一新し、エルディア人は記憶を改ざんされたのではないでしょうか。

グリシャの読めなかった字は文字が変わる前、つまり紀元前のものだったのでは?
というのは根拠は今のところ3つしかありません。

①:マーレがたった80年程度ですべての古文書や資料を消せるほど有能そうには見えない。
仮にマーレが徹底していても外国に資料が残っていてもおかしくない。
だがクルーガーら復権派はなにも手がかりを得られなかった。

②:マーレに焚書されずにすんだ壁の中の文字も、恐らく例の古文書の文字とは違う。
エレンもグリシャも、文字について何もリアクションしていない。

③:そもそも、紀元を変えるほど事が起こるとしたらこのくらいしか考えられない。





みなさん考えても見てください。
例えば日本人は昭和や平成、令和などという元号を使っています。
これをきっぱり止めますと言い出したら、そりゃ大事ですよね。
キリスト教の力が未だに強い欧米社会でキリストが受肉したとされる年を紀元とする暦が廃止されたら、やっぱり歴史的で世界的な大事ですよ。
紀元というのはそれほどにも重い。

そのレベルの事ってもう、世界の記憶を改ざんし文字を変え、歴史を塗り替えでもしない限りないと思うわけです。


まず進撃の巨人のエルディア帝国の歴史に目を向けると、そもそも本当に帝国の王家は145代にわたって連綿と続いて来たのか怪しくなって来る。
だって、始祖の巨人のように絶対的な力を持つ人間を王として崇めたいと思いますか?
日本の天皇やイギリス王室は『君臨すれども統治せず』つまり実権を持たない王だったからこそ生き残れました。
しかしエルディア帝国では構造上、始祖を持つ王家が強権を持つしかありません。

ここで私が思うのが、果たして本当に始祖はずっと王家に継承されつづけて来たのかという点です。
要するに個人が持つにはあまりに強すぎる力、始祖の巨人を常に王家へ受け継がせるのは非合理過ぎませんかってことです。
実際進撃の巨人登場人物中で最も意思が堅くて、非常に大きな影響を後世に与えた145代目などもいますし、受け継いだ奴が馬鹿だったら終わりです。
センターレベルの世界史知識を身につけていればわかると思いますが、どんな偉大な王でも、「たくさんいる息子達の中でよりによってこのバカ後継者にしちゃったか」みたいなのはよくあります。
エルディア人全体のためにも、常に王家が始祖を持つというのは不合理です。

さてここで思いだしてもらいたいのが王政編です。
王政編では、壁の中の真の王に王座をお返しする、という内容でしたね。
今までの傾向から考えて進撃の巨人では同じ展開を別の構図で繰り返す事があります。

前回ではレイス家は王家ではないと言っていましたが、今回のこの妄想では「始祖を持つ役目の一族」ではないかとしています。

つまり王家に変わって始祖を受け継ぐのがレイス家代々の役目だったんじゃないかと思うんです。
そうしないと、145代も続かないはず。
実際145代目という危険分子が始祖の力をフル活用してエルディア帝国の支配は終わってしまいましたし。

そんなレイス家は始祖を一旦145代目の王に奪われ、記憶を全て改ざん。
その上でレイスを壁の王に据えて一生を終え、以降レイスは壁の中で不戦の契りという鎖に縛られたまま。
そんな妄想をしました。ということが言いたかっただけなんで、ここまで読んでくれた変わった人、ありがとうございました。
来週が楽しみですね(はぁと❤)







進撃の巨人122話予想 そして過去編組の考察


えー、まあ早速なんですが122話の予想だけ、この本誌発売直前に書いておこうと思います。
あとで採点しようと思います。


122話予想


エレンは【道の少女】=ユミルを止めようとする。
そして、王家の血筋の者であるユミルにエレンが触ったとき、特有の記憶のフラッシュバックが起こる。
そしてもう一度記憶ツアーが始まるのだった。
エレンは約2000年前のまだ存命中だった始祖ユミルに向かって未来から記憶を植え付ける。
「始祖ユミル!最初の進撃の巨人!お前の子孫を根絶やしにするような真似をするな!
自由を求めて戦え、戦え!」
とまあそんな感じで座標空間に戻って来るとユミルは止まり、ジークも愕然とした表情。
そして2000年前のユミルとの接触で驚愕の真相が明らかになる。
『有機生物の起源』との接触という作中最大の謎とかいろんな事が明かされるのである。
そしてエレンはクルーガーとグリシャにその真実を伝えるためまた記憶ツアーに出るのだった。

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この時のクルーガーにはエレンが憑依していたと明かされる。


おわり。当たるといいな。



●余談

道の少女=ユミルはミスリードだとする説が結構多いですが、どうでしょうね。

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出典:進撃の巨人

いずれにせよ来週にはもう明らかになるだろうと思われます。

進撃の巨人の過去の歴史って本当に不透明なんで考察しようがないんですが、ここでは歴史についてちょっと語ってみます。
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出典:進撃の巨人

まず医者でインテリであるはずのグリシャがエルディア帝国時代の古文書を全然解読出来ないのが妙ですよね。
同じ民族なので同じ言葉を話しているはずである。
古代とそこまで語彙が変わっているという可能性はほぼありません。
例えば現代英語などには古代ギリシャ語やラテン語の言葉が多く残っていますし、中国人は3000年前の漢字の文章をそのまま理解することが出来ます。
そして中国人も欧米人も、昔と使ってる文字は変わっていません。

言うなればグリシャの古文書の件はイタリア人がラテン語を読めないと言ってるようなもので、おかしな話です。
ちなみにレベリオ収容区育ちのグリシャと壁の中の民は完璧に意思疎通が可能で、特に訛っているとも言われてなさそうです。
ただし壁の中と外でたった100年のうちに文字が変わっているのは妙ですが。
でも一応壁の王の膝元である壁内で話されている言葉は古来より続くエルディア帝国の標準語であると考えるのが妥当です。
従ってグリシャの両親もエルディア帝国時代の標準語を話しており、今もマーレ国内ではエルディア時代の言葉(仮にエルディア語とします)を喋ってると考えていいと思います。

エルディア帝国の支配力と征服範囲、そして歴史は強い影響力をもち、マーレが戦争に勝利した後も言葉は残った。
これは非常に筋の通った話であり、間違いないと断言していいと思います。

さて。では何故エルディア語を話し、読み書きのできるグリシャが古文書を全く読めなくなってるのか?

まずマーレで使われる文字と壁内の文字がどうも違っているところに注目します。
これはマーレの歴史隠蔽によるものなのでグリシャは古文書を読めなかったか?
それとも壁の王が新たに文字を作って記憶を改ざんしたのか?

これは考察勢でも意見が分かれるところだとは思います。
でも私としては文字を変えるというのが妙だと思う点ですね。
壁の王家が新しい文字を作って壁の中だけで広め、外からの情報が入って来ないようにするっていうのはまあ筋が通ってます。
しかし実際古文書をグリシャは読めないわけで、妙です。
やはり文字の変換がどこかであったはずです。
当然マーレによる歴史隠蔽のため、100年前から行われたはず。

しかしマーレは進撃の巨人の継承者と王家の生き残りすら見つけられていなかった。
クルーガーやジークのように政府に入り込んじゃってる危険なエルディア人もいる。
このマーレのずさんさで、エルディア復権派やフクロウのクルーガーですら古文書を解読するための情報のひとつも見つけられないほど完璧な文字の消滅が可能でしょうか?

普通に考えて、見つかったら焚書されそうな古文書を手に入れられるなら読み方も同時に存在してしかるべき。
見る限り古そうな古文書だったので、100年前の文字の教科書より手に入れるのは困難ぽいんですがね。



お次はエレン・クルーガーとクサヴァーさんについての考察です。


●クルーガーとクサヴァー


①:二人の人となりについて


クルーガーは進撃の巨人を継承しており、またエルディア帝国王家関係者であることが示唆されています。
エルディア復権派にすら秘密だった王家の生き残り、ダイナを連れてきた。
そのことから彼自身が王家の者ではないかとする考察も存在します。
王家かどうかは実際大した問題ではないですが、判明しているのはグリシャが妹を殺されて2年後に進撃の巨人を継承した点です。

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出典:進撃の巨人

またエルディア人であることがバレないよう医者に協力してもらってたそうです。
その医者っていうのがグリシャの父なのか、それともクサヴァーなのか。
前者の可能性もありますが、もしかするとクサヴァーかも。


②:クサヴァーさん

クサヴァーは獣の巨人継承者でジークにエルディア安楽死計画を吹き込んだ人物。
更にはジークに親を密告するよう促した人物でもあります。

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出典:進撃の巨人

ひじょーに怪しい。更にいえばクルーガーの協力者である可能性も否めませんよね。
ただ、そのクサヴァーを食ったジークは彼の記憶を見ているはずです。
であるならクサヴァーがクルーガーと結託してエルディア復権派一網打尽作戦を企んだという線はほぼ消えます。
ジークがもしそれを知ってたら未だにクサヴァーを尊敬してないでしょ。

恐らくクサヴァーはミスリードで、実はクルーガーの協力者はグリシャ父じゃないかと最近では思います。
考えてみるとマーレに対して憎しみをあらわにするグリシャを見て過敏に反応していたのは自分自身が復権派だとバレたくなかったのか?
そう考えられなくもないな、と思えて来る訳ですよ。
個人的にクサヴァーさんはそこまで秘密はもうない、語り尽くされたんじゃないかなと思います。
本当はグリシャの父、エレン達のお爺ちゃんも何かあるのではないでしょうか。
具体的に言うと認知症または何らかの疾患があるっぽい描写がありましたが


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出典:進撃の巨人

おじいちゃん、実は『クサヴァーを介してジークに両親を密告するよう仕向けた』
のではないでしょうか。その罪の意識のためグリシャの事に触れられるとおかしくなるのではないでしょうか。
深読みしようと思えばいくらでも出来るなあ進撃の巨人って作品は。

だってこのひとグリシャ、ジーク、エレンの血縁者ですよ。
キ●ガイ一族イェーガーなんですよ。絶対この人も何かしらヤバいことやってますよ。間違いない。
少なくともこの人とクサヴァーは何らかの繋がりがあったはず。
あとクルーガーも絡んでるかも。怪しい。


進撃の巨人における『逆転』について語りたい


はいどうも皆さん進撃してますか?
私はアニメ放送が終わったあとも3期part2を5周ぐらい見ています。



さて、タイトルの通り今回はふと進撃の巨人の凄さについてまた語りたくなりました。



・第一の逆転

まず第一の逆転は1巻で出て来た平和な日常からの非日常。
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出典:進撃の巨人

主人公エレンが住んでいた町は10歳の時に巨人に襲われ、虐殺が起こった。
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出典:進撃の巨人

まあこれは誰でも思いつくレベルの逆転です。


・第二の逆転

2巻から3巻で主人公・エレンが巨人となり、『人類の進撃』へ一歩踏み出すための力を示した。

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人類が巨人となり、巨人に進撃するという今までの常識の逆転。
まあこれは別に凡人でも思いつくレベルです。


・第三の逆転


知性もつ巨人はエレンだけじゃありませーん!
むしろ敵側の知性巨人の方がエレンの巨人より遥かに強いでーす!
ちなみにエレンの同期のうち四人が巨人でした!
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出典:進撃の巨人

まあこれも、凡人でも思いつくレベルのお話の回転です。


・第四の逆転

巨人の中には例外なく人間が、それも救出が可能な人間が入っている。
つまり今まで殺してきた巨人は全部人間。
しかも『今まで100年間人類を守ってきた壁の中身は巨人でした。』
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出典:進撃の巨人

非常に大きな転換です。この辺から諌山先生の天才ぶりが存分に発揮されていきます。


・第五の逆転

22巻で、今までで最大級の大きな逆転が起こりました。


壁内人類はエルディア人。エルディア人とは巨人の力を得た人類。
今まで同胞を食ってきた憎い巨人は人間だった。それどころか、同胞だった。
エルディア人は世界中で悪魔の民族と差別されていた。
そんな同胞を助けようとしたエルディア人革命軍。そのなれの果てが壁内人類を食う巨人だった。
憎い敵どころか最も親しむべき友人だった。

世界はエルディア人を根絶することを本気で願っている。
生きているだけで罪。生きているだけで死を願われる存在だった。

これはもう凡人で考えつけるレベルを遥かに超えているとしか言えない。

更に言えばこの22巻で非常に大きな逆転がもう一個起きてます。
それは前回の記事で説明した通りです。

グロス曹長という人は悪辣な人で、巨人に人間が成すすべもなく貪り食われるのを見るのが好きな人でした。
何の罪もない8歳の女の子を自分の趣味のために犬に食わせて無残に死なせて何の良心の呵責もない、嫌われるために登場した人物です。
で、そのグロス曹長、巨人に食われます。普通にスカッとするシーンです。

しかしこれ、登場人物は否定的です。
グロス曹長は巨人が人間に食われるのは楽しいものだと言ったが、実際それを(曹長が巨人に食われる)見てみると楽しくなんかなく不快だったと。

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言うまでもなくこれ、今まで人間が巨人に食われてばかりいた進撃の巨人という漫画そのものを大いに皮肉っています。
それを楽しんで読んでいた読者も、楽しませようと描いていていた作者自身すら。

つまり人間が巨人に食われてばかりいた、今までの人間対巨人という構図をここで一笑に付しているわけですよ。

そして同時に大方の謎が解け、これから始まっていく人間と人間の生存競争の開始をも暗示している。
グロス曹長という巨人などより遥かに性質の悪い『人間』の登場と退場によって。
この22巻でそれほどの転換が行われたんですよ。

エルディア人は生存競争に勝たねば自由は手に入らない。
生きているだけで存在が悪である世界、生存するという自由が認められない世界。
そんな世界と知ったエレンが起こした第六の逆転。


・第六の逆転


かつて鎧の巨人ライナーは、エレンの生家がある壁内を壊し大勢の罪なき人々を殺した。
エレンの母親もそこで巨人に食い殺された。
その後悔に苛まれ、自殺しようとしていたまさにその時。
エレンイェーガーが目の前に現れ、絶望的な言葉を発した。
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9年前、ライナーがしたことを今度はエレンがやるという。
罪なき人々を、ライナーの母親も住む街を戦場に変えるという無慈悲な宣告だった。
とこのように、4年後のマーレ編ではまさに第1巻の世界観からまるっきり反対へと逆転してしまったわけです。


ね? 構成力ハンパないでしょ?


進撃の巨人の話は連載中に残念ながら引き延ばされていったそうです。
なんか初期は20巻以下で完結予定だったそうですが。
それでも骨子の部分は完璧に練ってあるのでここまで美しい構成が生み出されたのでしょう。

このほかにもいろいろ逆転はありますが大きめのだけチョイスしました。
もう凄すぎて褒め言葉もない。自分が拾えてないだけでもっとあるんだろうな。

また急に進撃の巨人の話していい?


はい、MBTIブログをうたっておきながらMBTI関連の記事を書かなくなって久しい当ブログですが、次の記事はMBTI(性格分類)記事にします。


さて、そんな宣言がなされたところで、また進撃の巨人について熱く語りたいと思います。


・進撃の巨人のここがスゴい!

と言われると、まあいろいろありすぎて一つに絞りきれません。
各要素について語ってもいいんですが、長くなりすぎるので一つのエピソードに限定します。

そのエピソードはむろん、アニメの56から59話あたりで語られた主人公エレンの父、グリシャの半生。
そしてその回顧録を媒介として読者に壁の外とエレンの出生の真実からなにから、実に多くの事が語られました。

おもいっきりネタバレしますが、グリシャは色々あって進撃の巨人の舞台でありつづけた壁の外に存在する処刑台に送り込まれます。
処刑台では「人間」が次々と巨人にされ、塀の下に蹴落とされ、自我のないまま人間の血肉を求め永遠に徘徊を続ける悲しい怪物と成り果てるわけです。

そこで、悪辣極まりないグロス曹長という人が「いつもの趣味」を楽しみ始めます。

わざと罪人を3~4m級の巨人にし、巨人になっていない人間をそれと戦わせ、やがて無残に食われる様を楽しみながら見るというわけです。

「なんでこんなことをする。あんたこんなことして楽しいのか?」

グリシャは呆然として質問しました。
すると、グロス曹長は呆れたような顔をして

「なんでって、楽しいからだろ?」

理解できないのが不思議そうに言った。

これはどう考えても作者である諌山先生自身と、そしてこれまで進撃の巨人第一部ともいえる、人類と巨人の壁の中の戦いに付き合ってきてくれた読者への痛烈な皮肉としか考えられません。

実際読者は人間と巨人の戦いに興奮してたわけですから。
作者もそれをエンターテイメントとして世に出してますから。

たまに、エレンが巨人化したから切った。
本当は非力な人間が強大な巨人に打ち勝つ話が見たかったのに。

と言う人がいます。グロス曹長は特にこういう人への皮肉として効いてきます。
途中で切った人はともかく、今まで連載開始から8、9年以上付き合ってくれた読者を強烈に皮肉り、突き放す作者の圧倒的な度胸と自信と卓越した構成力には一種の感動すら覚えませんか?

しかも皮肉を言うだけに終わらず、このグロス曹長の存在は人間対巨人の戦いを一笑に付し、更にこのあと続く人間対人間の戦いが繰り広げられる第二部(勝手に呼ばせてもらってる)の始まりを宣言し、また、人間対巨人の不毛な内輪もめのような戦いをしてきた第一部(勝手にそう呼ばせてもらってる)の終わりを宣言することにもなっている。

というわけで、進撃の巨人は全編通してもちろん素晴らしいと言えますが、特にグリシャの回顧録の部分に関して言えば、どんなに褒めても褒めすぎにはならないほどの絶品。
全体の売上は恐らく日本の歴史上最後の一億部作品になるかと思いますし、客観的に見ても進撃の巨人は平成最後のマスターピースであると断言したいです。


・グリシャの回顧録のここがスゴイ!

グリシャがゲットーの壁を越えたことがすべての始まりだった。
もう既にこの時点で緻密な構成に感服しすぎてお腹いっぱいレベルです。
グリシャもその息子エレンも壁に守られて生きてきた。
そしてその壁を越えたいと願い、守られる壁をなくして地獄のような真実をも知ってしまう。

グリシャは歪んでしまい国粋主義者みたいな感じに。
ここのところの描写が皮肉効いてて笑える。いや笑えない。

そして、その後自分のしでかした過ちのせいで処刑台に立たされ、そこで彼は告白しました。
自分のしでかしたことで妹、両親、妻子、そして大きな野望も失い、失意に暮れるグリシャ。

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出典:進撃の巨人

前の記事でも言った通り進撃の巨人では、たとえ無実の人間を大勢殺しても、どんな事をしても人間は人間である限り自由でいなければならないという異常な価値観が支配的です。

それがグリシャは野望と家族を根こそぎ失ったくらいで心が折れて自由を求めた事を後悔した。
進撃の巨人基準で言えば敵であるマーレに去勢された家畜です。

そんな彼ですが、後に息子ともども罪なき人を犠牲にするのに躊躇のない怪物になりました。

明らかに「進撃の巨人」が人格にまで作用しているようです。
そして二人は親子らしく、自由の為ならいくらでも犠牲を増やして進みつづける。

それを止めようとするのがジーク。普通の作品ならジークが主人公でしょうね。
ジークは非常に厳しい状況におかれたエルディア人の為に動きます。



・またまたジークを語る!


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出典:進撃の巨人

エルディア人はマーレ政府に飼われている犬です。
何故飼われているかというと、知性を持った巨人の力は素晴らしい軍事力であり、無垢の巨人も生物兵器として非常に優秀だから。

しかし現在技術力が進み、世界各国はだいたい、20世紀前半くらいの技術力は有しています。
このままでは巨人の能力のアドバンテージが無くなる日は近い。
利用価値のなくなったエルディア人をマーレが保護する必要はなくなり、そうなればホロコーストしか有り得ない。

つまりどう足掻こうとエルディア人を待ってるのは族滅しか有り得ない。
それなら自分から消えよう、というのがジークの安楽死計画でした。

エルディア人を一人の例外なく根絶することのできる方法で、誰にとっても都合のいい方法なわけです。
というのにエレンはこれをやっぱり真っ向から否定。

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(出典:進撃の巨人)

安全で人を傷つけず、今までエルディア人が巨人の力で世界にもたらした苦痛を少しでもあがなう形でゆっくりと自殺するように消えていく安楽死計画よりも、より良い方法があるとでも?

恐らくないでしょう。
この作品は進撃の巨人であり、世界は残酷で、自由のためならどのような犠牲でも払う必要のある世界。

ほぼ間違いなくエレンはジークよりも遥かに野蛮でエルディア人の事しか考えない身勝手な方法に出るはずです。
多分121話か122話くらいで真の結末が提示され、そこに進んで行くのではないかなと思いますが、まあそれはこの記事を投下したあと時間が経ってからのことです。

1ヶ月後、2ヶ月後にもう一度記事を見返したい。







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