進撃の巨人における『逆転』について語りたい


はいどうも皆さん進撃してますか?
私はアニメ放送が終わったあとも3期part2を5周ぐらい見ています。



さて、タイトルの通り今回はふと進撃の巨人の凄さについてまた語りたくなりました。



・第一の逆転

まず第一の逆転は1巻で出て来た平和な日常からの非日常。
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出典:進撃の巨人

主人公エレンが住んでいた町は10歳の時に巨人に襲われ、虐殺が起こった。
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出典:進撃の巨人

まあこれは誰でも思いつくレベルの逆転です。


・第二の逆転

2巻から3巻で主人公・エレンが巨人となり、『人類の進撃』へ一歩踏み出すための力を示した。

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人類が巨人となり、巨人に進撃するという今までの常識の逆転。
まあこれは別に凡人でも思いつくレベルです。


・第三の逆転


知性もつ巨人はエレンだけじゃありませーん!
むしろ敵側の知性巨人の方がエレンの巨人より遥かに強いでーす!
ちなみにエレンの同期のうち四人が巨人でした!
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出典:進撃の巨人

まあこれも、凡人でも思いつくレベルのお話の回転です。


・第四の逆転

巨人の中には例外なく人間が、それも救出が可能な人間が入っている。
つまり今まで殺してきた巨人は全部人間。
しかも『今まで100年間人類を守ってきた壁の中身は巨人でした。』
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出典:進撃の巨人

非常に大きな転換です。この辺から諌山先生の天才ぶりが存分に発揮されていきます。


・第五の逆転

22巻で、今までで最大級の大きな逆転が起こりました。


壁内人類はエルディア人。エルディア人とは巨人の力を得た人類。
今まで同胞を食ってきた憎い巨人は人間だった。それどころか、同胞だった。
エルディア人は世界中で悪魔の民族と差別されていた。
そんな同胞を助けようとしたエルディア人革命軍。そのなれの果てが壁内人類を食う巨人だった。
憎い敵どころか最も親しむべき友人だった。

世界はエルディア人を根絶することを本気で願っている。
生きているだけで罪。生きているだけで死を願われる存在だった。

これはもう凡人で考えつけるレベルを遥かに超えているとしか言えない。

更に言えばこの22巻で非常に大きな逆転がもう一個起きてます。
それは前回の記事で説明した通りです。

グロス曹長という人は悪辣な人で、巨人に人間が成すすべもなく貪り食われるのを見るのが好きな人でした。
何の罪もない8歳の女の子を自分の趣味のために犬に食わせて無残に死なせて何の良心の呵責もない、嫌われるために登場した人物です。
で、そのグロス曹長、巨人に食われます。普通にスカッとするシーンです。

しかしこれ、登場人物は否定的です。
グロス曹長は巨人が人間に食われるのは楽しいものだと言ったが、実際それを(曹長が巨人に食われる)見てみると楽しくなんかなく不快だったと。

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言うまでもなくこれ、今まで人間が巨人に食われてばかりいた進撃の巨人という漫画そのものを大いに皮肉っています。
それを楽しんで読んでいた読者も、楽しませようと描いていていた作者自身すら。

つまり人間が巨人に食われてばかりいた、今までの人間対巨人という構図をここで一笑に付しているわけですよ。

そして同時に大方の謎が解け、これから始まっていく人間と人間の生存競争の開始をも暗示している。
グロス曹長という巨人などより遥かに性質の悪い『人間』の登場と退場によって。
この22巻でそれほどの転換が行われたんですよ。

エルディア人は生存競争に勝たねば自由は手に入らない。
生きているだけで存在が悪である世界、生存するという自由が認められない世界。
そんな世界と知ったエレンが起こした第六の逆転。


・第六の逆転


かつて鎧の巨人ライナーは、エレンの生家がある壁内を壊し大勢の罪なき人々を殺した。
エレンの母親もそこで巨人に食い殺された。
その後悔に苛まれ、自殺しようとしていたまさにその時。
エレンイェーガーが目の前に現れ、絶望的な言葉を発した。
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9年前、ライナーがしたことを今度はエレンがやるという。
罪なき人々を、ライナーの母親も住む街を戦場に変えるという無慈悲な宣告だった。
とこのように、4年後のマーレ編ではまさに第1巻の世界観からまるっきり反対へと逆転してしまったわけです。


ね? 構成力ハンパないでしょ?


進撃の巨人の話は連載中に残念ながら引き延ばされていったそうです。
なんか初期は20巻以下で完結予定だったそうですが。
それでも骨子の部分は完璧に練ってあるのでここまで美しい構成が生み出されたのでしょう。

このほかにもいろいろ逆転はありますが大きめのだけチョイスしました。
もう凄すぎて褒め言葉もない。自分が拾えてないだけでもっとあるんだろうな。