また急に進撃の巨人の話していい?


はい、MBTIブログをうたっておきながらMBTI関連の記事を書かなくなって久しい当ブログですが、次の記事はMBTI(性格分類)記事にします。


さて、そんな宣言がなされたところで、また進撃の巨人について熱く語りたいと思います。


・進撃の巨人のここがスゴい!

と言われると、まあいろいろありすぎて一つに絞りきれません。
各要素について語ってもいいんですが、長くなりすぎるので一つのエピソードに限定します。

そのエピソードはむろん、アニメの56から59話あたりで語られた主人公エレンの父、グリシャの半生。
そしてその回顧録を媒介として読者に壁の外とエレンの出生の真実からなにから、実に多くの事が語られました。

おもいっきりネタバレしますが、グリシャは色々あって進撃の巨人の舞台でありつづけた壁の外に存在する処刑台に送り込まれます。
処刑台では「人間」が次々と巨人にされ、塀の下に蹴落とされ、自我のないまま人間の血肉を求め永遠に徘徊を続ける悲しい怪物と成り果てるわけです。

そこで、悪辣極まりないグロス曹長という人が「いつもの趣味」を楽しみ始めます。

わざと罪人を3~4m級の巨人にし、巨人になっていない人間をそれと戦わせ、やがて無残に食われる様を楽しみながら見るというわけです。

「なんでこんなことをする。あんたこんなことして楽しいのか?」

グリシャは呆然として質問しました。
すると、グロス曹長は呆れたような顔をして

「なんでって、楽しいからだろ?」

理解できないのが不思議そうに言った。

これはどう考えても作者である諌山先生自身と、そしてこれまで進撃の巨人第一部ともいえる、人類と巨人の壁の中の戦いに付き合ってきてくれた読者への痛烈な皮肉としか考えられません。

実際読者は人間と巨人の戦いに興奮してたわけですから。
作者もそれをエンターテイメントとして世に出してますから。

たまに、エレンが巨人化したから切った。
本当は非力な人間が強大な巨人に打ち勝つ話が見たかったのに。

と言う人がいます。グロス曹長は特にこういう人への皮肉として効いてきます。
途中で切った人はともかく、今まで連載開始から8、9年以上付き合ってくれた読者を強烈に皮肉り、突き放す作者の圧倒的な度胸と自信と卓越した構成力には一種の感動すら覚えませんか?

しかも皮肉を言うだけに終わらず、このグロス曹長の存在は人間対巨人の戦いを一笑に付し、更にこのあと続く人間対人間の戦いが繰り広げられる第二部(勝手に呼ばせてもらってる)の始まりを宣言し、また、人間対巨人の不毛な内輪もめのような戦いをしてきた第一部(勝手にそう呼ばせてもらってる)の終わりを宣言することにもなっている。

というわけで、進撃の巨人は全編通してもちろん素晴らしいと言えますが、特にグリシャの回顧録の部分に関して言えば、どんなに褒めても褒めすぎにはならないほどの絶品。
全体の売上は恐らく日本の歴史上最後の一億部作品になるかと思いますし、客観的に見ても進撃の巨人は平成最後のマスターピースであると断言したいです。


・グリシャの回顧録のここがスゴイ!

グリシャがゲットーの壁を越えたことがすべての始まりだった。
もう既にこの時点で緻密な構成に感服しすぎてお腹いっぱいレベルです。
グリシャもその息子エレンも壁に守られて生きてきた。
そしてその壁を越えたいと願い、守られる壁をなくして地獄のような真実をも知ってしまう。

グリシャは歪んでしまい国粋主義者みたいな感じに。
ここのところの描写が皮肉効いてて笑える。いや笑えない。

そして、その後自分のしでかした過ちのせいで処刑台に立たされ、そこで彼は告白しました。
自分のしでかしたことで妹、両親、妻子、そして大きな野望も失い、失意に暮れるグリシャ。

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出典:進撃の巨人

前の記事でも言った通り進撃の巨人では、たとえ無実の人間を大勢殺しても、どんな事をしても人間は人間である限り自由でいなければならないという異常な価値観が支配的です。

それがグリシャは野望と家族を根こそぎ失ったくらいで心が折れて自由を求めた事を後悔した。
進撃の巨人基準で言えば敵であるマーレに去勢された家畜です。

そんな彼ですが、後に息子ともども罪なき人を犠牲にするのに躊躇のない怪物になりました。

明らかに「進撃の巨人」が人格にまで作用しているようです。
そして二人は親子らしく、自由の為ならいくらでも犠牲を増やして進みつづける。

それを止めようとするのがジーク。普通の作品ならジークが主人公でしょうね。
ジークは非常に厳しい状況におかれたエルディア人の為に動きます。



・またまたジークを語る!


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出典:進撃の巨人

エルディア人はマーレ政府に飼われている犬です。
何故飼われているかというと、知性を持った巨人の力は素晴らしい軍事力であり、無垢の巨人も生物兵器として非常に優秀だから。

しかし現在技術力が進み、世界各国はだいたい、20世紀前半くらいの技術力は有しています。
このままでは巨人の能力のアドバンテージが無くなる日は近い。
利用価値のなくなったエルディア人をマーレが保護する必要はなくなり、そうなればホロコーストしか有り得ない。

つまりどう足掻こうとエルディア人を待ってるのは族滅しか有り得ない。
それなら自分から消えよう、というのがジークの安楽死計画でした。

エルディア人を一人の例外なく根絶することのできる方法で、誰にとっても都合のいい方法なわけです。
というのにエレンはこれをやっぱり真っ向から否定。

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(出典:進撃の巨人)

安全で人を傷つけず、今までエルディア人が巨人の力で世界にもたらした苦痛を少しでもあがなう形でゆっくりと自殺するように消えていく安楽死計画よりも、より良い方法があるとでも?

恐らくないでしょう。
この作品は進撃の巨人であり、世界は残酷で、自由のためならどのような犠牲でも払う必要のある世界。

ほぼ間違いなくエレンはジークよりも遥かに野蛮でエルディア人の事しか考えない身勝手な方法に出るはずです。
多分121話か122話くらいで真の結末が提示され、そこに進んで行くのではないかなと思いますが、まあそれはこの記事を投下したあと時間が経ってからのことです。

1ヶ月後、2ヶ月後にもう一度記事を見返したい。